長襦袢の繰り回し
長襦袢の数は何枚お持ちでしょうか。どなたも着物に合わせて何種類かは持っているはずです。長襦袢の管理についてはどのようにされていますか。
今回は長襦袢の繰り回しについて、分かりやすく例を挙げながら説明をしてみたいと思います。
振袖の長襦袢について
現在振袖を着ている年代の方は別にして、既に振袖を着ることの無くなった方は長襦袢をどうされていますか?長襦袢は必ず着物についているのでたぶん一緒にあるはずです。
衿の手入れも済み、汚れていなければやはり着物につけておくのが一番です。そして振袖を着る方にそのまま利用して頂くのも良いと思います。
ただし襦袢だけが残されている場合もあるので、それは是非、再利用されればと考えます。
振袖の襦袢は、もちろん袖も長く、そう頻繁に着られていないので生地そのものがあまり痛んでいないはずです。ただ汗ジミや多少の色やけはしているかもしれません。
大抵は淡いピンク系統のぼかしなどが多いものです。中には絞りのものもありますが・・・
地紋は鶴やおめでたい大きな柄だったりします。 もう派手かしらと感じていらっしゃることでしょう。
でも全く視点を変えれば大いに役立ちます。大きな地紋でも思い切って濃く、渋い色に染められたらどうでしょうか。
(長襦袢の一般的な生地)
地味な色の紬や織りの着物、小紋の着物に合わせて、例えば柿朱、あらい朱、ひき茶、からし、ワイン色等々に染めてみます。 こんな色の襦袢が袖から見えるのは素敵です。
個性ある色の襦袢を着てお洒落を楽しんでみてはいかがでしょう。平凡なピンクや水色の襦袢よりずっと面白いです。こんな時に若い頃の長襦袢があれば、ぜひ利用してみて下さい。少々黄ばんだシミも分からなくなります。
式服の長襦袢について
留め袖や喪服の長襦袢は白と決まっていますが長い間には黄変したり裾の汚れも目立ち全体が古びたようになってきます。
式服は他人に着せてもらう機会が多いので少し恥ずかしいような気がしたりします。しかし元々白の長襦袢ですから染め変えるにはどんな色にでもなるはずです。
好きな色にして他の着物の時に使われたらいかがでしょうか。薄い色から濃い色、または全体をぼかし染めにしてみも素敵です。
新調する長襦袢は何に合わせたら...
それでは新しく長襦袢を創るときは、どんな着物に合わせたら良いでしょう。私の提案ではよそ行きの小紋か、訪問着、そして式服用の長襦袢の新調に合わせてを考えるのが良いと思います。
なぜなら訪問着には薄い地色で品の良いおとなしい長襦袢が無難ですし、式服用も白ですから新しいものが気持ちよいと思います。特に薄目の色は着物の表地にひびかないので安心です。
とび絞りも使用しますが小紋柄はよそ行きの長襦袢としては使わないのです。
染め変えは、絞りは洗い張りすれば全体が伸びてしまいますが、構わなければ染めることも出来ます。
かわいい小紋柄の長襦袢もあきたり汚れたりしたら上から染めることが出来ます。柄は見えにくくもなりますが、それはまた渋くて良い味となります。
最後に長襦袢は下着ですからある程度は数を持っていると便利です。いつも同じ長襦袢を使えば汚れも激しいですし裾も切れて痛んでしまいます。
次々と上手に手持ちの長襦袢を繰り回ししながら数を増やしていけば、より長持ちします。