着物で帰宅
一日中着物で外出したとします。やっと家に帰り、ほっとして大変な勢いで帯を解き着物を脱いだ経験はありませんか?特に暑かったり、ムシムシした日はたまりません。
脱いだ後の開放感は、着たときの緊張感と同じくらいの快感ではないでしょうか。さて本題はここからです。今回は着物を脱ぎ終えた後の手入れについて、お話してみましょう。
帰宅後は汚れの箇所をすぐ確認
まず帰宅したら一日の外出で食べ物のシミがついていないか、雨に降られてはねが上がっていないか、など思い当たる汚れを確認します。
着物の共衿にはうっすらと汚れ(首筋の汗や脂、又は化粧品)が付いているものです。脱ぎ終えた着物には多少の体温が残り、温かさと湿気を感じます。まだ人肌のあるうちに衿の汚れを見つけ、手入れをすると比較的取りやすいです。
(ベンジンは普通に薬局等で市販されている)
面倒でも着物を脱ぐ、衿の汚れを取るを一気に続けて終えると後が楽です。衿、袖口、裾の汚れはベンジンをたっぷりと綿花に含ませてたたくようにして汚れを散らします。
着物を長いこと掛けっぱなしにしておいてからでは、汚れも生地目に食い込んでしまいます。自分で出来る最小限の手入れをしましょう。
次に着物を、衣桁やハンガーにかけ、1~2日間、風を通し湿気を飛ばします。風を通した後、畳みながら袖口、裾(八掛)、上前等にシミがないか再度、確認をして下さい。
難しいシミ抜きは専門家に任せる
食べ物のシミを見つけたら、決してこすらないようにして下さい。こすると生地の表面が擦れますので、乾いて付着した食べ物だけをそっと取って、無理をせず、後は専門家にまかせましょう。
口紅のシミは表面だけ何回かセロハンテープにそっと写し取り、油分を薄くしますが、どうしても色素が残るので、これも専門家にまかせて下さい。
泥はねは複雑ですから、乾かしてぱんぱんと落とすだけにして、こすらず、やはりシミ抜きに出します。
ひどくない汚れはある程度自分で散らせても、手に負えない場合は無理をすると取り返しのつかないことになります。そして、早めにシミ抜きに出すのが賢明です。衿ぐらいしか汚れていないのなら、自分の手入れだけで済みます。
風を通してから、しまえば次に気持ちよく着られます。手入れをこまめにし、着物を長く大切にしましょう。