半衿のマジック
着物を求めるときの決め手の一つに、着物の地色があると思われます。もちろん柄の好みで決める場合もあるでしょう。それでも地色がしっくりこないとか、似合わないと感じれば最終的には決めかねるものです。選ぶ時に、地色は重要なポイントになります。
地色を選ぶ楽しみ
着物は、体全体を被いますので、実際には顔と手先しか見えません。色が占めるボリュームを多く感じながら全体の印象を決めることになります。
一反の着物は12m程あり、これを体全部に付けるのですから着物の地色は見た目を決める大事な位置にあるわけです。お袖が長ければなおさらのことでしょう。
もっともここに着物を着る楽しさも存在しています。着物のデザインは全て統一されています。身体の一部である顔と手先しか見えないからこそ、様々な色によって着物の変化を私たちは試みることができます。色を選ぶ時の悩みも楽しさに変えて受け入れてみると良いでしょう。
半衿の効果とは?
もう一つ忘れてならないものに、半衿のマジックがあります。たいていの場合、長襦袢には白の半衿を付けています。これが不思議な効果を生み出すのです。
首のあたりを考えてみて下さい。まず首の皮膚の色があります。
ここで洋服の場合には、首の色の次に服の色がありますから首のあたりの色と服の色とが密着して接することになります。人により皮膚の色は違いますし、首の様子も色々でしょう。つまり服では色を選ぶときに、その方の首の雰囲気がけっこう影響してきます。
着物ではどうなるでしょう。首の次に見えるのは白の半衿そして本体である着物の色と続くので首からは遠くなります。この時、白い半衿が首との間にあるため、着物の地色の映りが非常に良いのです。白が接していると、どんな色でも吸収してくれます。
その為に自分に似合う思いもかけなかった色を発見したり、無限に色を楽しむことが出来るのです。この事に気付かれたことがありますか?着物の色の選択については服よりもバリエーションが広がります。知らず知らずの内に、半衿のマジックの助けを借りているからです。どんな色へも挑戦して着物を楽しんでみましょう。