単衣で遊ぶ色と柄


 前回は主に単衣を着る時季について説明いたしましたが、今回は具体的に作る時のことを想定して考えていきます。
 まず地の色を決めるところから入りましょう。無地と柄のあるものは分けて考えます。



無地の場合


 無地の単衣を作られる方はお茶をなさる方々が多いので、よく地色の相談を受けます。その時に考えることは第一に祝儀にも不祝儀にも兼ねるのか、どちらかに限るのかということです。
 これは袷を作る時も同じなので重複するのですが、あえてここを押さえておきましょう。
 つまり両方の用途に合わせるのであれば、まず生地の地紋はおめでたいのは避けなければなりません。
 無難な地紋の反物を選んでおきましょう。鶴とか松とか吉祥文様は不祝儀には着られませんのでこの点を注意します。
 そして単衣となりますと材質にもしっかりとした生地を用いることです。裏地がないのですから縮みやすい生地、反対に伸びてしまいそうな生地は困ります。

 次に冒頭で申し上げた地色についてです。作りたい単衣は初夏の着物か、初秋のための着物か、またはどちらにも着る目的があれば選ぶ色もおのずと決まってきます。
 初秋と初夏では肌に感じる感覚も異なりますから惹かれる色気も変わります。例えて言えば初夏には爽やかな色が好まれます。青みのある色、涼やかに見える色に目がいきます。
 そして初秋にはやや暖かみのあるアースカラーが気になるようです。肌色、黄みがかった色、セピア系、薄目の茶系などです。
 着物を着る機会の多い方が、夏を挟みその前と後に着る単衣の色にこだわるのは、季節感をよりお洒落に考えているからです。
 でもとりあえず単衣が一枚欲しいと思えば、どんな色でも好きな色、年代に合う色を決められると良いでしょう。余裕があれば先に述べたようなお洒落な色の選び方もあることを覚えておいて下さい。



単衣の柄を考える


 柄についてはどんなものがあるでしょう。訪問着、小紋、付下げ、いずれも単衣の場合には季節感の溢れる柄が素敵です。

単衣の柄


それでは例をあげて、初夏、初秋の着物に相応しい図柄の題材を幾つか並べてみましょう。

 初夏には...
   紫陽花、燕、水芭蕉、青楓、石南花、鉄扇、等々

 初秋には...
   秋草、ススキ、葡萄、栗、小菊、蜻蛉、等々

 そして両方の時期に着られる一般的な柄として夏草や秋草(萩、薊、野菊、露芝、女郎花、等)を模様としている無難な図柄が多く出ております。これらは比較的おとなしい感じとなっています。 絵柄と色があいまった着物を楽しんで下さい。


まとめとして


 単衣を着ることが増えて行くと思われる現代、袷しか着ないと言わずに単衣を活用してキモノライフを更に広げていってください。
 余談になりますが単衣を着る時の半襟と小物類は同じ着物でも6月には夏の小物で、9月にはもう袷の時と同じ小物にすることに気をつけてみてください。
 帯について言えば、6月には夏物の材質ですが9月になれば単衣の帯か、塩瀬の帯か、あまり重苦しく感じない帯から締めはじめて参りましょう。

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