コートに変身!!
新しくコートを作るのは簡単です。しかし、今回はコートの数を増やすにはどうしたらよいか、既に持っている物を利用してコートを作るにはどうしたら良いのかと言うお話をなるべく具体的に説明するつもりです。
前回は「冬はコートが主役です」と述べましたので、新しくコートを作ろうと思われている方は、まず前回をお読みになってから始めて下さい。コートに変身ということですから新品で作るものはここでは省きます。
着物を利用してみる
着物は十分に丈があるので丈的には問題ありません。柄を見てください。あまりごちゃごちゃしていて下に着る着物とのバランスがおかしければ、思い切って染め直してみてはいかがでしょう。案外、新鮮になります。
また着物にはもう柄が派手かと思うけど好きな柄だし、という場合もコートにすると成功します。丈があるのでコートの形も色々にできます。
道行き、道中着、変わり衿、等どのようにもなるし、コート丈も好きな長さになります。飽きてしまった着物、派手になってしまった着物などを利用してみましょう。
羽織を利用してみる
羽織こそタンスに多く眠っているのではないでしょうか。羽織もさまざまな種類がありますので、種類別に説明していきたいと思います。
ほとんどの羽織は何とかなるのですが、どうしてもコートに無理なのは昔流行った茶羽織で、これはもともと4丈物をふたつにして羽織にしたので、衿分が半幅でひと幅ない上、羽織丈が短いのでどうにも再生できません。これ以外の羽織はコートになるでしょう。
- 1. 無地で紋付きの羽織の場合
- これは結構色焼けをしていたり、薄い色気が多いのでコートにするにはこっくりとした色に染め変えたら良いです。
- 紋があるのは、仕立てで見えなくできます。この場合、丈の長さからして道行きの形にしておくのが無難でしょう。ここで無地の道行きが一枚できることになります。
- 2. 絵羽織の場合
- 昔、流行った黒地に柄のある絵羽織が圧倒的に多いのですが、現在はほとんど着ることもないのでこれをコートにいたします。
- この羽織は結構、丈や裏にかえる部分がたっぷりしているのもあるので道行きはもちろん道中着の形にもなり得ます。
- 生地が不足の時はコートの表部分にコート丈いっぱいに羽織の生地を使い、裏側のカエリ部分に足し布をして長めのコートが完成します。
- 黒地の羽織が多いので、紐の部分やカエリの不足分の生地を用意しやすいので、少し手を加えれば立派なコートに変身できます。訪問着や留め袖用の上に着られるよそ行きコートに重宝です。
- 3. 絞りの羽織の場合
- これも一時、流行ったものなのでお持ちの方が多いでしょう。これは道行きの形にしかなりません。衿の部分が半分しか絞ってないからです。絞りの羽織はなかなか便利で良いコートになります。軽いし暖かいのです。贅沢にも見えますし眠っていたら是非コートになさるとよいでしょう。
- 4. 小紋柄、その他の羽織
- 小紋柄、その他の羽織はそのままでも一色かけてもどちらでも、生地さえしっかりしていれば同じくコートになります。染め変えの色を考えるのも楽しみと思ってみて下さい。
コートをコートにする場合
色を染めかえて寸法も変えたい時、コートをまたコートに再生できるかとよく聞かれますが、私の工房ではいたしますが、他はどうなのでしょう。
染めることは難しいことではないのですが、コートを解くのは結構やっかいなようです。細い立て衿の部分があったり、ミシン縫いの部分が使われていたりするので手間がかかるようです。
たいていは派手な色を染めかえる場合が多いので、地紋が吉祥柄でさえなければ、喪服用のコートとして黒にする事をお薦めします。一枚はあってもよいものですから。
おしまいに
以上、例を挙げてまいりましたが、補足しますと、羽織の裏地は、ほとんどコートを作る時の裏地には使えないです。作り直す場合は、皆長めにしますので元の裏地は丈が足らずに届かないのです。
コートの裏地だけは新品のしっかりとしたものをつけましょう。元の裏地も洗い張りしてあるので大事に保管しておいて下さい。いつか役に立つ日が来るかもしれません。但し外した裏地があまりひどい時はあきらめて費用をかけずに処分してしまいましょう。
着物や羽織をコートに変身させて冬場のお出かけを楽しいものにしてみませんか。