お洒落と元気の関係


 お洒落をするってどういう事でしょうか。着飾る?改まる事?気取ってみる?気張ってみる?人はどんな時にお洒落をしようと思うのでしょうか。誰の為に?自分の為?人の為?私はいつも考えます。
 人間以外の動物はお洒落したくて身を飾る事はしません。牡が牝より奇麗に見えるのは自分たちの種の保存のために牝の気を引くための知恵が生まれつき本能として備わっているのですが、人がお洒落をするのは異性の為だけではなくて、もっと複雑な要素が絡み合っている様に思えます。



お洒落の効用


 お洒落するとどんな効用があるでしょうか。私が長い事、着物を作らせて頂いている中で皆様のいろいろな表情に出会う事があります。まず、だれでもが美しい物をまとう時は気持ちを自分に対して改まって向き合いとても良い表情をするのです。この事は誰でもが同じです。大人も子供も同じです。鏡の中の自分に向かい合ったとき、軽い緊張感が走りちょっとだけ改まったというか気取った表情をします。素敵な、おすまし顔といったところです。

 いつもより少しドレスアップすることは日頃の暮らしの中ではとても大切なことだと思います。その事は日々の暮らしのアクセントといいましょうか。メリハリが伴うことではないでしょうか。
平穏で変化がない暮らしの中でも、長い間には気持ちが沈んで行く事があります。
 人は多少の刺激を感じながら生きて行くのが気持ちの活性化につながり、いつも若々しくいられると思います。それには若干の気を張る場所があり、人とのコミニュケーションを図る場面があるという事が重要でしょう。
 他人に会おうとすれば、起きたままの姿というわけにはいきません。服も着替える事でしょう。髪もとけば口紅も引くでしょう。最低限の身だしなみを整える事でしょう。
 出かける場所、目的に合わせた装いを考えることから始まります。人に会えばおしゃべりもするし気を遣ったふるまいもしなくてはならないです。このように身なりに気を遣い振る舞うということは、とても大事なことで自分なりのお洒落をすることが、生活のリズムを生み出していると言えます。

 さて、いよいよお洒落も次の段階になると自分がより美しく見えるようにと考えを巡らします。人それぞれではありますが 千差万別であれやこれや楽しい悩みのひと時でもあります。気持ちも華やぎ高揚して来ます。お洒落する日には病気になってなんかはいられません。
 自ずと身体に気をつけて暮らそうと心がけます。気持ちも張っていますから若々しくなります。お洒落するって素晴らしい事なのです。自分の為にちょっとだけ気張ることが元気にもつながります。
お洒落をする気持ちが失われると元気もだんだん無くなります。身を装う事は人に与えられた特権で、見栄では決してないのです。自分の存在の証でもあるのです。



着物でお洒落する人へ


 先日、お正月に新しい着物を新調したいわと頼まれた方がありました。80歳の方でした。そのお洒落する心意気に感服しました。その気持ちこそが元気を生み出すパワーです。

 また、暑い最中に歌舞伎座へ行った時に感じたのは若い方に着物姿が多かった事です。何年も前に比べるとはっきりと着物姿が増えているのは嬉しい事です。暑さに負けずお洒落して来た人は皆美しく見えました。

 お洒落と元気の関係は、鶏が先か卵が先かという話の様ですが互いに支え合う関係です。お洒落をする事は少々面倒をともなう時もありますが、何もかも面倒くさく思えたらおしまいです。そのように感じた時は疲れて元気がない証拠です。

 私が言いたかったのは上手に自分のお洒落心と付き合って、いつまでも健康でいられるのが最も望ましいという事です。皆さんも普段からお洒落を楽しむ心を忘れずに、いつも元気でいて下さいね。

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