あなたに似合う袖丈
着物を仕立てに出す時は、もちろん袖丈の指定もします。何種類の袖丈の着物をお持ちでしょうか。お持ちならば着物の種類と季節によって、袖丈を考えることでしょう。
大抵の方は、仕立てを頼む時に、下に着る長襦袢にも合わせ袖丈を決めていきます。ここまでは、着物の仕立てをお願いする方が普通に考える事です。
袖丈を決めるとき
一般的に基準になるのは、年齢、身長、未婚者か既婚者であるか、着物の種類、長襦袢の袖丈、そして好み等、があります。
始めから、ご自分で寸法をはっきり指定できる方もいらしゃいますが、全く専門店任せの方もいます。ここで私がいつも考えることなのですが、袖丈を決める時は、お任せではなくご自分で考えて決めることです。
昔は単純に、大振袖は三尺、中振袖は二尺五寸前後、小振袖は二尺前後、未婚の方の訪問着は一尺六寸から八寸位とおおよそ決まっていました。それがミセスになられるとすぐに、どんな着物も一尺三寸前後になってしまうのが一般的でした。
普段着はそれよりやや短め、年齢が高くなると一尺二寸前後にする方も多かったのです。こんな風に着物の袖丈は決められていました。
この決め方は今でも基準とされていますが、近頃ではこの枠の中だけに収まる必要はないと、私は考えています。
現代の袖丈
それでは今は何を基準に袖丈を決めて行けばよいでしょうか。もちろん昔からの決め方がオーソドックスな方法ですから、これを基準に考えることは大切です。
ただ、昔から言われている袖丈の長さは、女性の身長が150cm前後を中心にせいぜい155cm位に考えられていると思われます。現代の女性は平均身長も伸び160cm前後からそれ以上の背丈です。当然、昔の日本女性の身長とは大分違って来るわけです。
例えば一尺三寸で作る方が圧倒的に多いのですが、身長160cmの方がこの寸法で着れば、見た感じは一尺二寸位にしか見えません。ですから現実には、一尺三寸五分か、一尺四寸にすればそのイメージは昔のようになるでしょう。
このようにご自分の身長を考えて袖丈を決めて頂きたいのです。
そして時代の流れにつれて着物姿の在り方も変わりました。現在は、30代、40代のシングルの方達も増え、社会での活躍も目覚ましく、それぞれのスタイルでキモノを楽しんでいます。
一昔前の女性の身長で決められていた袖丈が、ここに来て見直しが必要なことなども含め、それぞれの持つライフスタイルに合わせて自由に着物を楽しんでいます。ミス、ミセスの区分だけでは袖丈が決め兼ねる時代となってきました。
以前のように、お嬢様、若奥様、お母さま、中年の方、年配向きなど、おおざっぱに袖丈を決めつけることもないように思います。個々に楽しみながら、自分が着たい袖丈を決めてみてはいかがでしょうか。
袖丈を楽しむ
最後にひとつ、提案があります。20代から30代の方へ向けてです。
振袖からいきなり次の着物の袖丈が一尺三寸というのはどうでしょうか。もう振袖は着なくても、訪問着や小紋を楽しみたい方は、袖の長さを自由に変化させても良いでしょう。
特にミスであれば一尺五寸から二尺までの間で楽しまれたらいかがでしょう。少しだけ長い袖は優雅で美しいものです。
紬は無理ですが柔らかもの(染めてある着物)であれば十分可能です。袖丈の長さが取れるだけ作ってみて下さい。短くすることはいつでも出来るのですから、、、。今、自分が楽しめる袖丈、きっと似合って美しく見える事でしょう。