色無地を上手に決める


 着物を初めてお作りになる方は、模様物の前に色無地から入られる方が多いようです。特に色無地の紋付は正式な場に着て行くには重宝しますので、まずこの着物が一枚あれば安心ということでしょう。
 既製品としてすでに染め上がっている反物に、後から紋を入れる場合もありますが、ここではまず白生地の反物から自分の好みに合わせて色を決める方法について説明してみましょう。



色を決める時の、一番の注意点


 色無地をお願いして、気に入らない色に染まったというお話をよく聞きます。自分で決めたはずの色が、実際に着物の形に出来上がってみると、思い描いていた色と大分違っていたということです。できれば、こんな不満は残らないようにしたいものです。


お茶会の色無地
(お茶会などでも色無地は多く使われる)

 何故そうなるのかと言えば、まず色の見え方の問題があります。
 専門店では、色見本帳から色を決めるため、色見本そのものが小さすぎるのです。
 着物になったとき、色の暈が何百倍にも増えるため、最初に小さな色見本で見た時よりも、色の印象が大きく変わって見えます。
 色は大きい面積で見たときの方が、より強い見え方をします。最終的に決める色は気持ち薄目にしておく位で丁度よくなるでしょう。
 出来るだけ大きな色見本を選ばれて、顔の近くの襟元にあててみて下さい。
 そして、直に目で見るばかりでなく、鏡に写して見ることも大切です。その色が大きくなった時を、頭に描いてイメージしてみて下さい。


色を失敗しない為に


 次に、生地の材質によっても色の発色が違って見えます。例えば光沢が強めの生地や、しぼのある縮緬では、陰になるところが濃く見えますので少し弱めの色に。反対に、平らでさらりとした生地や袖は、コクが出にくいのでやや濃いめの色を選択する方が成功すると思います。
 その他に、色を見るときの光源についても注意して下さい。蛍光灯や、タングステン光が使われている暗い店内で見る色と、太陽光の下で見る色は大きく違います。
 ちなみに私は、こんな点に注意して染めております。無地は全て引き染めにして生地を傷めないようにしています。同じ反物を3回は染め変えて楽しめるように考えていますので、慎重に生地を選び、色を選ぶようにしています。
 柄がないのですから、その地色だけで着る方の個性を引き出すように心がけます。目的の色に染め上がって喜ばれる時はとても嬉しいものです。

 色無地を作る時は、材質と光源に注意して、なるべく大きな色見本を参考にして決めるようにしましょう。

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