冬はコートも主役です


 11月も近づけばいつまでも着流しでは歩いていられません。いよいよコートの活躍する時季です。コートってとても見せ場が多いモノなのです。
 冬場に着物を着るほうがずっと多いわけですから、コートは欠く事が出来ません。
 はじめに自分の手持ちのコートは何枚あるのか。現在使用中のコートだけにしぼりタンスから取り出してみましょう。



コートの丈、寸法、色、材質、を確かめる


 まず、昔のコートを見てみましょう。とても派手であったり、今見ると丈が短いのがありませんか。自分の年齢にあっていればよいのですが、とても若い時のコートは今の着物にそぐわないことがあります。
 地色が派手になりすぎていたり、体型が変わってしまって寸法が合わない時などです。
 例えば、とても年齢に相応しい着物をお召しなのにコートだけが若いときのままに、派手でつんつるてんに短かったりしているのを街で見るとおかしく思います。そのようなコートは手直しすることにしましょう。
 まず寸法を確かめましょう。道行きの衿の位置が上になり胸の上のほうだったり、前のホックやひもを結ぶとき、きつそうだったり、腰掛けると幅が苦しいのは、自分の体型が若いときより立派になってしまったということなので、もはや着ることが難しくなったということです。
 材質についていえばコートはその割に傷んでいないものです。ほとんどが再生に耐えられます。派手になったり、きつくなったからといっても大事にしていてください。
 手直しについては、次回のキモノレクチャー、コートの再生の方法のなかで詳しく説明いたします。



コートこの頃の傾向


 さて、ここでコートを新調なさる方は参考にしてください。ここ最近は羽織を着ない時代が長く続いたせいか、コートを着る機会がより増えてきたようです。形はずっと長めになっております。そして形も道行きから道中着、その他の変わり衿が含まれます。

道行き
道行き

道中着
道中着


 長さは七分、八分、九分といろいろです。この丈は人によりその身長から判断して決めるので、あくまでも着る方にとっての七分であり、八分であるのです。
 コートを仕立てるとき、私はこの長さを決めるのに一番気を使います。まず格好がよくなくてはなりません。
 それを決めるには着物を着て帯もきちんと締めて頂いた上で作りたい好みの長さを相談して決定いたします。

 衿の形は好みですが、胸のある方は道中着がお薦めです。着物の衿に添って苦しそうに見えず着られますし、裾も幅に応じてひもを結べますので形が裾ですぼまり着物に添うので、すっきりと見えます。
 長めのコートにすると下の着物が気にならずに着られるのが良い点でもあります。


 ただし道中着は用尺が要るので羽尺やコート尺の反物では長いコートを作るのに生地がちょっと足りないモノがあるので、身長と照らし合わせて考えましょう。背の高い方は一反ものを選ばれればよいでしょう。

 長いコートを着ることが多くなったため、お出かけの時はコート姿が行き帰りとも目立つので冬はコートのほうが主役になり得ます。
 着物のように帯で中断されず生地の全体が見えるのですから、どうか気に入ったコートを着て冬の外出を楽しんでください。
 コートは単なる塵よけではありません。冬のお洒落の主役でもあります。私からの提案です。

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