現代のコート丈は様々です。昔は羽織を着た上にコートを着る場合が多かったのでコート丈は羽織に準じれば良かったのです。
　つまり羽織丈より長ければ問題なかったので、コートの丈について思い悩むこともなく、せいぜい２寸位長く考えておりました。近年になって、羽織を着ることが少なくなりコートを作るたびにどの位の長さに決めるかが分かりにくくなりました。
　着る方によって長さは色々です。好みの長さもありますし、また下の着物の種類によっても違うでしょう。この頃では長めの丈のコートが主流となっています。背の高い方が増えた為でしょうか。不思議なことに、一度長めのコートを着ると、もう昔の短い丈のコートは着たくないようです。
　どうしてでしょうか。長いコートはキモノの柄をほとんど覆い隠しますので、下の着物を気にせずに済みます。膝のあたりで着物とコートの色や柄がぶつからずにすっきりとするので、具合がよろしいのが理由にあげられます。

コート丈を考える目安は

　それではコートの丈はどうやって決めたらよいでしょうか。私は今までコートを仕立てる都度、納める前に着る方の身長とコートの丈とを書き留めてきました。それらを参考にして大体の基準が出ます。
　一概に７分コート、８分コート、９分コートとか言いますが、この言い方は、あくまでも本人にとってのイメージの長さであって具体的に言えば、７分は少し膝下までで、８分はふくらはぎぐらい、９分はくるぶしのやや上のところ位と、おおざっぱですがこんな風にとらえております。
　この長さを決めるのは帯を結んだ上からでないと、正確にはできませんから、着物を着て帯を締めてその上で決めるのが理想的です。これなら何分丈のコートでも決めやすいのです。丈にこだわる方には、必ず着物を着て来て下さるようにお願いしています。
　コートは格好物と言われるように、着る方の体型、コートの材質、形により全部違うので、丈を決めるには気を使うのです。
　それでは身長から考えられる大体のコート丈を参考までに記しておきます。

身長とコート丈の参考表

　体格によっても微妙に違うので上記を参考にして、あくまでも体型と好みを併せて考えて下さい。尚、遂丈の長さのコートとなりますと雨ゴートと紛らわしいので、ここでは９分丈までとしました。

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