袋帯には必ず芯を
袋帯を求めた時に、帯芯の事を気にされたり、好みの固さについて聞かれたことがありましたか?
袋帯は黙っていても芯が入っているものと思われている方がほとんどでしょう。ここでは、帯芯が入っていなかった時の困った例を述べながら、袋帯の芯について考えていきましょう。
帯芯が入っていないと...
帯芯が入らないまま使用しているとどうなってくるでしょうか。
まず帯そのものがくたくたと疲れた状態になってしまいます。そして両側の縫い目がずれて、ねじれが生じ歪んでしまいます。
一般的に売られている袋帯は表地と裏地を2枚合わせて両側が縫い合わさって閉じてあり、タレのところは閉じてありません。
本来は帯芯を入れてからタレの部分を閉じて仕上げます。芯を入れずに何回も締めればどうしても帯地を傷めてしまいます。
そして、帯を締めた時、形に張りが保てないので、くたっとした感じで美しくないのです。
このように、帯芯が入ってないと帯を締めたときの見た目も悪く、袋帯の寿命も短くさせてしまいます。芯を入れてきちんと仕立てることを、ぜひ心掛けて下さい。
帯芯を入れなかった理由
なぜ芯を入れないで使用していたのかにはさまざまな理由があるようです。
- 1. 袋帯を求めた時に仕立てる事を念頭に置かずそのまま持ち帰って使用している場合があります。店側が手を抜いたこと。(信頼できる専門店ではそんなことはありませんが...)
- 2. 求める方が軽くて楽なのが良いから芯を不要と言われ、芯抜きでタレの下だけを閉じる仕立てを頼んだ時です。 中には1番と同じようにタレを閉じずにパカパカと開けたままの方もいます。
- 3. 何十年も前の丸帯や袋帯が重くて締めにくいので帯芯を抜かれて使用する場合です。
- 確かに古い昔の帯は重いばかりで芯そのもののコシも抜けているし、くたくたと扱いにくいので帯芯を引き抜きたくなるでしょう。 これらの帯は程度の違いこそあれ一様にくたびれた感じになっています。
帯芯は必ずいれましょう
さまざまな理由があって帯芯が入れられないまま使われていますが、どんな袋帯にも芯を入れることを勧めます。2つの大きな理由があります。まず芯を入れて帯を長持ちさせること、そして美しい帯の形を見せるためです。
少々問題なのは古いアンティークの丸帯や袋帯です。とても強いしわやしみが付いています。地のしをするか、洗い張りできるものはしてから新たに芯を入れましょう。
昔のものは地厚な帯地が多いので薄めの芯を入れることです。ただし、丸帯に関しては元々丈が短いので再生するにはもう少し工夫が必要です。
丸帯や丈の短い昔の袋帯を作り直すことについては、このことだけについて説明が必要なので、次の機会に述べるつもりです。
帯芯には厚さが何種類かあります。これは帯を仕立てる方々の判断に任せておけばよろしいと思いますが、袋帯は必ず芯を入れたものを締めるのだ、ということは認識しておいて下さい。