センスが光る帯揚・帯締


 着物を着た時、お洒落の最後の締めは何でしょう。小物たち、帯揚げや帯締めそして草履などです。 着物を沢山持っていても小物には無頓着な方もいます。
 私は着物姿の人に会うとまず帯締めに目が行きます。それから帯揚げ、帯、そして着物という順番に見ていきます。どうしてでしょう。
 装いに良く合い、心を配った小物を身につけている方は、たいてい素晴らしい着こなしが身に付いているからです。
 どんなに良い着物や帯でも小物に神経が届いていないのでは、お洒落とは言えません。小物にまで気を使われているのを感じさせるのは気持ちの良いものです。それこそ着手のセンスの光るところです。



小物にも格


 具体的に無頓着に小物を身に付けている場合を申し上げてみましょう。

  • 1. 帯揚げは無難なクリーム色または水色、うすいピンク色、黄緑色をどんな種類の帯にでも気にせず使う。
  • 2. 帯締めを名古屋帯、袋帯に関係なく締めている。
  • 3. 着物の種類と小物の格とが合っていないでちぐはぐである。

以上のことが見ていて最も気になる事です。 それでは理由について説明していきましょう。

帯締め 1. について詳しく説明すれば無難な色が良くないと言っているのではありません。
 本当に考えて組み合わされて装いにぴったりとしていれば結構なのです。
 ただ何となく淡い色なら何にでも合うからいつも手持ちの小物を使っていると言うのでは個性がでません。誰が着ても同じであなたらしさが光りません。意識して小物の色使いも考えた上で、着物姿をビシッと決めて下さい。

 2. についてですが、帯締めにも色々な種類があるのに、あまり考えずに締めてしまう間違いをしている場合です。
 合わせる帯により、帯締めの組み方、細さ、太さ、幅がそれぞれ違うのです。 名古屋帯の場合には、ふさわしい帯締めを選びましょう。
 帯の柄や色に合わせて決めるのも良いですし、個性的で趣味性のある色合いや組み方の帯締めも名古屋帯だからこそ締められるものです。袋帯にはない楽しみと遊びが存在します。
 幅のありすぎるものは主には袋帯用となるので避けましょう。豪華すぎるのも重くなります。
 袋帯の場合の帯締めはやや幅のある立派なものを使用します。帯の雰囲気や色目から飛び抜けて離れないようにした方が品が良いです。豪華であるのは構いません。
 袋帯が立派であればあるほど帯締めの格もあげてください。そうすれば帯も自ずから引き立ちます。

 3. で述べたいことは、帯揚げ、帯締めとも着物との格を考えずに適当に使っていると思われている場合です。
 例ば、縮緬の帯揚げは袋帯に使用することはまずないので避けて下さい。それから紬を着た時には、総絞りの帯揚げは使用しませんし、光のある帯締めも使いません。
帯揚げおおまかに帯揚げを分類すれば、縮緬類は名古屋帯止まりで考えましょう。綸子、絞り、とび絞りは名古屋帯、袋帯にも兼ねて使えます。総絞りはどちらにも使えますが紬を着た時だけは無理です。
 帯締めについて言えば前に述べた通りで豪華で品格のあるのは袋帯用、お洒落で引き締まる感じの物は名古屋帯び用と考えればまず良いでしょう。あとはあなたのセンスを活かして、色々に組み合わせてみることです。



着物を着る前夜は


 明日は着物で出かけようという前夜には準備を致します。着物と帯をまず決め、それから小物類を考えます。
 私は帯締めと帯揚げの組み合わせを、二通り考えておきます。当日になると微妙にその日の気持ちの在り方で昨晩と変わることがあるからです。
 いずれにしても小物合わせをあれこれ迷うのも楽しい時間といえましょう。着物好きな方ならどなたでも経験がありますよね。自分の為だけのコーディネートをおおいに楽しみましょう。

20-25toumei.gif

20-25toumei.gif